さい帯血バンクでは、さい帯血の提供にいくつかの条件を設けさせていただいています。その内容をよくご理解いただいて、さい帯血の提供にご協力いただければ幸いです。
さい帯血を提供していただける妊婦さんは、さい帯血バンクと提携している産科施設でお産をされる妊婦さんだけです。
宮城県内でさい帯血バンクと提携している産科施設は以下の2施設です。
※採取施設への直接のお問い合わせはご遠慮ください。
採取されたさい帯血は「日本赤十字社関東甲信越さい帯血バンク」に搬送し、調整保存されます。
・仙台医療センター(仙台市宮城野区)
・東北公済病院(仙台市青葉区)
さい帯血は移植に使うものなので、無菌(に近い)状態で採取や分離などを行います。そのための特別な設備や技術を持っている人材が必要です。また、分離・調製・保存施設と採取施設との距離や作業能力に合わせて、採取施設にさい帯血提供をお願いしています。このため、出産によるさい帯血の採取は何処でも可能ではなく、精度管理を行うために契約制になっています。したがって、あらかじめ決められた病院でしか提供できないことをご理解ください。
さい帯血を提供していただく妊婦さんには、さい帯血移植を受ける患者さんの安全性を確保するため、次の4つの点についてご協力をお願いしています。
1.妊婦健診の情報提供
産科のカルテから病歴と妊婦健診結果、そして分娩時の記録と情報をさい帯血バンクに提供していただきますのでご了承ください。記入は主治医が行いますので、妊婦さんのお手は煩わせません。
2.問診票への記入
さい帯血の提供には、提供の「同意書」にサインしていただくほか、問診票や家族歴調査票などへの記入や、署名、捺印をしていただきますのでご協力をお願いいたします。なお、問診票や家族歴調査票は、妊婦さんの情報や家族の病歴から採取さい帯血の安全性を調査するものです。
3.出産後の血液検査
出産後、十分な量のさい帯血が採取できたお母さんから、約10ccの検査用血液を採取させていただきます。この血液は、感染症検査に使います。移植に使う際、患者さんは免疫が落ちて抵抗力のない状態です。健康な方には影響のないウイルス感染などでも、大きな病気を引き起こす恐れがあります。こうした事態を防ぐために検査を行います。
4.産後4か月以上経過時のアンケート
産後4か月以上たったころ、お母さんと赤ちゃんの健康状態についてのアンケート調査がありますのでお答えください。このアンケート結果を持って、提供されたさい帯血は患者さんに提供るするため、さい帯血バンクに正式に登録されます。万が一、赤ちゃんが定期健康診断などで先天性の病気などが判明した場合は、そのさい帯血は移植に用いることができません。このため、発育状態や定期健診の結果などをお尋ねします。このアンケートは必ずご返送をお願いします。
さい帯血は出産が終わった後、後産と言われる胎盤とさい帯に残っている血液を採取します。通常の出産では、赤ちゃんは産まれてすぐにさい帯から切り離されます。採取には専用のバッグを使用し、さい帯表面の血管に針を刺して行います。さい帯の表面は、針を刺しても痛みを感じることはありません。採取は2~3分で終了し、数分後に母親の体外に胎盤が娩出されます。したがって、分娩の経過には影響がありません。
また、さい帯血提供のご希望があっても、お母さんに何らかの慢性疾患や妊娠合併症があったり、または赤ちゃんの状態によっても、さい帯血を採取できないことがあります。さらに、お産の状況によりさい帯血を採取している時間的余裕がない場合もあります。さい帯血を採取しても、採取量や細胞数、検査結果によっては、移植治療に利用できないことがあります。その場合には廃棄するか、または移植に関連する研究に役立たせていただきますのでご了承ください。